HOME > 特集 > (特集)建築家座談会「これからの住宅について大切なこと」

(特集)建築家座談会「これからの住宅について大切なこと」

建築家が集まり、
いま社会で関心の高いことについて座談会をおこないました。
テーマⅠ「 冬の節電。どうする?
テーマⅡ「 住宅の耐震を、どう考える?
テーマⅢ「 住まいの資産価値って、なに?

テーマⅠ「 冬の節電。どうする? 」

最初のテーマは、「住宅の省エネルギー」です。家庭で使うエネルギー総量は、冷房はわずか2~3%に対して、 暖房は25%とはるかに大きい!冬の節電対策は重要です。夏の暑さなら、通風でしのげても冬場はそうはいきません。
6名の建築家に、家づくりでの対策や暮らし方のヒントなどをいただきました。


森健一郎氏
私は、設計で住環境を具体的数値で把握して、プランや造形デザインを決定しています。家全体の断熱性能を計算し、窓の大きさや向き、 ガラス仕様や庇の出などを決めていくのです。建主には、冷暖房・照明・給湯・家電などそれぞれのランニングコストを説明し、設計段階から省エネ意識を高めてもらいます。そうすることで、生活が始まってからも、計画どおりの省エネが実現できる。既存の家なら厚手のカーテンを床まで下げるだけでも省エネ効果がありますよ。

東章司氏
(断熱性能などの高い家しか設計しない。といった他の建築家の声に対して)コンクリート打放しの家は、結露するし寒いです。でも建主が希望するなら、僕は対応したいと思います。 エネルギーについては、熱損失を数値化したり、建築や設備で工夫する方法はいろいろあるけれど、まずは暮らす人が1枚多く着るのが有効だったりする。 夫と妻でも、人によって体感温度には差があるので、衣類の着脱などで家族間の体感温度をそろえるのも大切ですね。 また、どれほど設計で工夫しても、施工精度が低くては予定した性能が確保されない。そうしたずさんな工事がされないよう、しっかり監理するのも僕らの仕事です。

倉水恵氏+三木さおり氏
私たちの設計事例は、暮らしていての気持ちよさや楽しさを優先するため、開口が大きく、階段室とつながっているようなプランが多い。これは、あまり熱環境にやさしいとは言えない設計なので、 設備選びがポイントとなります。空間がひとつにつながった家でペレットストーブを採用してみたところ、煙突や排気の問題が少なく、100㎡以上の大きな家がちゃんと温まる。 メーカーによるとランニングコストもエアコンに比べて割安なようです。

根來宏典氏
大切なのは、外との環境を遮断するのではなく、活かす設計をすること。そうした意味で、設備は「集熱式のソーラーシステム」と「薪ストーブ」を組み合わせて設計しています(ただし、都心部では薪ストーブは難しい面もあるが・・・)。地震でインフラが不通となったときにも、建主の家では薪ストーブが大活躍したと聞きました。火は、眺めても心を温めるし、やはりいいものです。

西崎寿志氏
僕の場合は、1階で温まった空気を2階で再び使うなど、冬場は熱を効率よく再利用することを考えています。また、気密性をできるだけ上げるためには、吹き付けの発泡系断熱材は効果的ですね。設備なら、最近ではガス式の暖炉を採用していますが、期待通りの暖かさが発揮されていると建主からは好評のようですよ。

阿部智樹氏
この間、長野で築100年の古民家改修をしました。その際に、断熱性能を重視して壁を作り変えたり、サッシを入れようとすると、この家のよさが失われてしまう。いろいろと考えて結局、断熱性能のいい箱を、既存の家に突き刺すような方法を取り、今までと同じ熱環境の部分と断熱性の高い部分を共存させることで、極力この家の趣を残すことにしました。改修工事では色々な考え方、方法がありますね。
冬場の温熱環境というと、つい設備の話になりやすいが、機械設備に頼りすぎない暮らしを考える必要もあると思います。

みなさん、ありがとうございました。
暮らすためには、エネルギーは必要です。いかに使うエネルギーのロスを出さないか、エネルギーを分散させられるか、そしてエネルギーに頼りすぎない解決方法はないか?などを考えてみる必要がありそうですね。


PAGETOP


テーマⅡ「 住宅の耐震を、どう考える? 」

激しい揺れに襲われた今回の東日本大地震を経験し、 家の耐震性能に不安がよぎります。建築家は、住宅の耐震レベルについての疑問や建主の不安にどのようにこたえているのでしょう。


安田博道氏
建主がいま、非常にナーバスになっていることはたしかです。例えば、壁面の仕上げに少しでもクラックが入ると、耐震性能には関係なくてもとても気にされます。木造でも剛構造にするなど工夫すれば、こうしたクラックは生じにくくなりますので、クラックなどが気になる人には、そうした配慮をしていますね。

森村厚氏
阪神大震災後の調査でも、当時の建築基準法を満たしている家には被害がほとんどありませんでした。さすがに研究が進んでいるだけのことがあります。 現行の基準法で建てていれば滅多なことでは壊れないと考えています。

前砂雅弘氏
技術的に、より強くすることは可能ですが、それなりにコストがかかる。どこまで備えるか見極めることが大事ですね。また、建物を支える地盤を調べ、その上で基礎を設計することが重要だと、今回の震災で建主の皆さんにも分かったのではないでしょうか。

川島真由美氏
先日、仙台といわきで耐震改修をした家は、(今回の震災でも)家具を固定していたこともあり安全でしたが、近隣の家は家具が倒れ、ガラスが割れて非常に危険な状態でした。 建物の構造だけでなく、住んでいる人が防災をどうするかを考えないと、 基準法だけを満たしていても、最終的には意味がありません。

とはいえ、今回のような大地震があると、さらなる耐震の術「免震」が気になります。


菊井進二郎氏
私は木造の免震を手がけたことがあります。コンクリート基礎と縁を切って、鉄骨で再度基礎を造り、その間に鉄球を転がし、地震の揺れを吸収する仕組みです。まだ若い技術なので30年後に機能するかは今後データの蓄積が必要だと思いますが、興味がある方は検討の価値ありですね。 費用は500万円ほどかかります。

住宅の免震機能やシステムについては、ほとんどの建築家から 「まだ未知の部分が多い」との意見も。地震を機に、大いに注目されているリフォームについて。


佐倉由浩氏
リフォームで一番難しいのは基礎補強。 基礎がそれなりにしっかりしていたら、 壁の中の筋交いが途中で切れていても、 リフォームで補強は可能です。現況の基礎がしっかりしているか、あるいは補強が可能かが耐震リフォームのポイントになりますね。

川島真由美氏
リフォームより建替たほうが安いのではと悩む方も多いですが、 経験からするとリフォームの方が安く実現でき、愛着ある家を残すこともできます。はじめに建物の状態をしっかり確認して、どのようなリフォームが必要かを建主自身も把握することが大切です。

現行の建築基準法に従っていれば、 必要以上に不安に駆られることはないといいます。 だからこそ、地盤や住まいの調査などを行い、状況を正しく知ることが大切です。そうして防災も怠らないのが耐震への近道といえそうです。


PAGETOP


テーマⅢ「 住まいの資産価値って、なに? 」

一般的に、経年に従い、資産価値は減っていくと言われる日本の住宅。また、「個々の建主の用途や想いに合わせて作る家に汎用性はない」という意見もあるかもしれませんが、・・・。
将来的に、建築家とつくる住宅の資産価値はどうなるのだろうか。建築家の見解をうかがいました。
ここ数年、「長期優良住宅」や「性能表示制度」などの新たな制度が設けられ、住宅に客観的評価を示すことができるようになりました。こうした動きの中で住宅の資産価値は変化してきているのでしょうか。


松本隆三郎氏
新築時の建主満足度だけでなく、自分がつくったものが30年後にいくらで売れるのか、と問われている時代です。ここ数年は特に。日本では中古の家屋には、ほとんど資産価値がつかなかったのですが、欧米では(中古でも)逆に高く売れる場合がある。それはどうしてかという事に気づきだして、日本のお役人達が手を付け始めています。建築家としては、その客観的、長期的な資産価値も考慮した上で、デザインする時代になっていると思います。

小久保美香氏
でも今は、すごく限られた材料にしか評価対象となる「基準値」が存在しませんよね。例えば、友人の設計士は土壁の家を建てて、実際に温度を測ると涼しい家が実現しているけれど、それを証明する数値が日本の法律にはない。数値で表せないから、それは資産価値がないって考えるのはどうなんでしょう。その友人は、自宅だから実際に検証が出来ているけれど、設計段階で数値が証明できないものは、価値もないと考えるのは、もったいない気がします。今、実測データのないものも、今後は数値で証明できるようになっていって欲しいです。

杉浦充氏
一方では、(建主の)資産価値の考え方自体が変わってきていると思う。ひと昔前は、たしかに数値的な物差しでばかり測られてきましたが、すでにこれは壊れてきていると感じます。今、建主のソフト面の価値観が多様化して、数値で測れるものだけでは満足できない。一部のハウスメーカーが建築家と組んで、設計や商品開発をしているのも、その傾向を表しています。これからは個々の建主の潜在的な価値観(人生や将来設計など)というソフト面の方がより大事になるし、そこに対応できるのは、我々(建築家)だと思っています。

関義民氏/山中祐一郎氏
(建主が)そこに暮らして、幸せになれることを最大の目標にして、設計したいと思っています。でも、建主によっては計量化できる数値を求める方もいらっしゃるので、それにも当然のこととしてお応えできるようにしています。数値を満たした上で、更にどれだけの価値を載せられるか。それが目指すところです。

では、建主に何を伝えていきたいですか?


佐久間徹氏
家が住み手に愛されることがポイントだと私は思う。例えば、メンテナンスフリーな材料を使うのと、傷んできたら愛着を持って手をいれること。ちょっと意味が違いますが、私は後者の提案をして、傷んでくることも含めて可愛がってあげると、結果的には長く気持ちよく住めるのではないかと、常々お話しています。古びたものをいいと感じるかは、人それぞれ。でも選択肢のひとつとして30年も40年も経って、いい感じになっているところも見てもらって、“お好きですか?”と確認したいと思うんです。

関義民氏/山中祐一郎氏
自然の素材はいいですよね。古びながらも味わいを増していく。人工の素材だと、どうしても古くなっていくだけですけれど、そういう意味では自然の素材は強いのです。そのことを伝え、お勧めしたいですね。

小久保美香氏
私は、建材をつくる現場に、建主と一緒に行ったりしています。例えば瓦屋根だったら、造形して瓦をつくる場面だったり、木だったら製材したりカンナかける場面だったり、タイルだったら焼く前の段階。そうすると手焼きのタイルが多少歪んでいても、すごく愛情もってくれる建主が多いです。時間はかかりますが、そういう家づくりの進め方をしています。

杉浦充氏
愛情もって住んでいけるというのが、もっとも重要な価値、いい家だと思う。でも、それは残念ながら、数値には表すことができないですからね。

現住まいの資産価値を考える上では、自分が毎日過ごす家ですから、どこかの誰かではない自分の感覚や価値観と、客観的評価とのバランスが大切です。将来のライフスタイルや家族構成の変化に耐える可変性と、器としての基本性能、そして経年に負けない魅力を兼ね備えることで、おのずと資産価値の高い住宅になるはずです。


お問い合わせ・資料請求

まずはソリューションスタジオへ

まずはソリューションスタジオへ

住まいについての疑問や悩み、
OZONEが解決します。


PAGETOP